SES営業の極意!!

〜信頼される営業マンになるには〜

前回の記事では、「SESとは」という名目で、
SESの概要について、詳しくお話しさせていただきました。

今回は、前回よりもより深いお話という事で、
SES営業としてのポイントを解説させていただければと思います!

SES営業の仕事とは?

まず始めに、SES営業の仕事内容について、
契約までの一連の業務の流れに沿って、ご説明いたします。

業務の流れ

  • 案件開拓
  • 人材集め(案件開拓と並行)
  • 企業との打ち合わせ
  • 面談日程調整
  • 面談同行
  • クロージング
  • 契約書の締結
  • 参画後のフォロー

案件開拓

END企業やSIerに対して、エンジニア需要の有無を確認する業務です。
※END企業は、自社サービスを持っている企業であり、
 SIerは、END企業の1次請けや2次請け企業のことを指します。

主な案件開拓方法は、「テレアポ」です。
IT人材はどの企業でも不足している為、
テレアポでも、比較的簡単にアポイントを取得する事ができます。


人材の募集

案件開拓と並行して、人材集めを行います。
集める人材の雇用形態は、企業毎の戦略に則って、下記の3種類に分類されます。
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・自社の社員
・個人事業主(フリーランス)
→自社社員および個人事業主は、広告媒体で募集する事がほとんどですが、
 最近では、社員の友人を紹介するという「リファラル採用」も流行してきております。

・パートナーの正社員(BP社員)
→テレアポやIT交流会などで、パートナー企業と協力関係を結ぶことで、
 その企業に在籍する社員を、紹介してもらう事ができます。
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こちらで募集した人材を、開拓した企業へ提案し、
双方のマッチングを図るという流れとなります。

 

企業との打ち合わせ

案件開拓でアポイントが取れた企業へ訪問し、
今後の進め方や、顧客の課題・ニーズのヒアリング、予算感の擦り合わせを行います。

可能であれば電話でアポイントを取得する際に、
予算感と求めている人材像をヒアリングしておき、
この打ち合わせの際に、人材のスキルシートを持っていくようにしましょう。

少しでもリードタイムを減少させる為に、オススメの手法です。

 

面談日程調整

企業がスキルシートと条件を確認し、
「会ってみたい!」と思った人材に対し、日程の調整を行います。

調整を行う際には、企業側から直近で対応可能な日程を提示してもらうようにするとスムーズです。
また人材に対しては、「最も使用している連絡ツール(電話・メール・SNS等)」を聞いておいた方が良いでしょう。

SES業界では「明日来れますか?」といった事もざらに言われます。

 

面談同行

SESでは、人材紹介事業とは異なり、企業と人材の面談に同行し、面談のファシリテートを行います。
なぜなら、企業と人材が直接契約を結ぶのではなく、その間にSES事業者が入る契約となるからです。
そのため、面談後の条件の擦り合わせを企業と人材の双方に行う必要があります。

また面談に同行できるというのは、SESの1つの利点であります。
緊張のせいで面談が苦手な人に対しても、
直接フォローする事が出来るのは、人材業としてやりがいを感じますよね!

 

クロージング

面談を終えて、企業から参画のオファーをもらい、
人材からも承諾が得られれば、契約締結へと進むことになります。

この際、3社間の認識の齟齬が生まれないよう、
条件はメールでやり取りし、文字に残すようにしましょう。

 

契約書締結

契約書の締結も営業として大事な仕事です。
いかに人材と案件がマッチしていたとしても、
企業間の契約書が締結できなければ、支援することは出来ないですからね。

主に締結する契約書としては、下記の3点です。

  • 業務委託基本契約書
  • 機密保持契約書(NDA)
  • 業務委託注文書・注文請書

企業によっては、他に誓約書の締結が必要になる企業もありますので、
事前の訪問の際に伺っておくようにしましょう。


参画後のフォロー

SESは単発型の契約ではないため、人材が入場した後も、
「現場の様子は、面談時のお話と齟齬がないか」
「人材のスキルは、期待通りのものであるか」
というような、企業人材双方へのフォロー活動が重要となります。

詳しくは、次章にて解説しておりますので、
こちらでは割愛させていただきます。

 

SES営業のコツ

〜お客様のファーストチョイスであれ〜

案件発生から参画決定までのリードタイムが、24時間という事例もあるSES業界では、
まず何よりも「スピード」が重要視されます。

そしてこの「スピード」には2種類存在すると考えております。

『作業対応スピード』と『情報流入スピード』です。

『作業対応スピード』は、恐らく皆さんがイメージしている通りのものでして、
純粋な個々人のキーボードタイピングの速さや、社内連携フローの処理速度等があたります。

一方、『情報流入スピード』とは、
「新鮮な情報を仕入れているかどうか」という視点で考えられる早さです。

例えば、END企業から、
「新規プロジェクトでこんな感じの人材募集しているんだけど…」
と相談があった時、
果たして、この相談は既に他社にも声をかけているのか、
はたまた1番最初に相談してくれたのか、
というような具合です。

2種類出てきたこのスピードですが、
「作業対応スピード」は、業務効率化ツールの導入などのおかげで、
どの企業も正直それほど遜色がないというのが現状です。

そのため、他社と差別化を図るのであれば、
「顧客のファーストチョイス」であり続け、
「情報流入スピード」をNo.1とすることが重要となるのです。

そして、「顧客のファーストチョイス」となるには、
双方の信頼関係の構築が必要不可欠です。

そこでこの章では、「顧客と信頼関係を構築するため」のコツをいくつか伝授していきます!

①『参画後のフォロー』がとっても大事

現場参画後のフォロー等、1つ1つの「運用」を迅速に丁寧に対応することが、
SES営業として、企業にも人材にも信頼される1番の近道だと考えます。

もちろん、新規開拓や新規契約の取得などの「営業行為」は、
企業が利益を拡大していく上で必須であり、
重要なアクションの1つであると思います。

しかし、そちらに注力しすぎるがあまり、
「運用行為」が疎かになってしまっている営業マンは、実際に少なくありません。
汚い言い方ですが、「人を入れて入れっぱなしの状態」になっているということですね。

その状態になってしまうと、
企業とも人材とも信頼関係を構築することができず、
到底、「ファーストチョイス」となることは出来ません。

放ったらかしにしてしまったがために、トラブルの対応をしなければならなくなり、
営業活動に集中出来ないと言った悪影響も出てきてしまうでしょう。

そのため、人材から状況を伺うためのランチミーティングや、
企業側から見た人材の様子のヒアリングを定期的に行うようにしましょう。

また特に人材に対しては、電話やメールではなく、直接会うことを強く勧めます。
人材は新しい環境に飛び込むため、人間関係で上手く対応できるか不安ですし、企業からの評価も気になります。
「顧客に少しでも安心感を与える行動をするために」を常に考えていれば、
おのずと自分がやるべきことは見えてくるでしょう。

②トラブルはチャンスです

「ピンチはチャンス」という言葉がありますが、
まさしくこの言葉が当てはまると思います。

まず、SES事業にとって、トラブルはつきものです。

なぜなら扱っている商材が、「モノ」ではなく「ヒト」ですので、
SES営業のコントロール可能な範囲を超えたトラブルがしばしば発生します。
(ちなみに「ヒト」を商材とする表現は好みません。)

ex)
・契約途中にも関わらず、人材が交通事故に遭い、作業を行う事が困難になってしまった。
・来月から参画が決定していた人材に身内の不幸があり、実家を継がなければならず、契約を破棄して欲しいと要請が来た。 
・受け入れ企業に、「来月からお願いしたい」と言われ人材とも条件を固めていたのに、
 企業の社内稟議が遅く、「再来月でないと受け入れが難しい」と言われてしまった。 etc

上記のような事例が起こってしまった際、
「怒られるかも…」とネガティブな感情を抱く人もいるかも知れません。

しかし、このようなトラブルが発生した時は、
「顧客から信頼を勝ち取るためのチャンス」と言えるでしょう。

どうしようかと、ただただ慌てふためくか、
誠意を持って謝罪した後に、落ち着いて対応策を提示する事が出来るか。
この行動の違いで顧客からの評価は、雲泥の差となる事でしょう。

トラブル解決のポイントは、下記の通り。
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①どの業務よりも最優先で対応し、誠意を見せましょう。
②想像しうるケース全てで場合分けした上で、解決するための策を3つ以上提示しましょう。
③今回のトラブルの解決策だけでなく、再発防止策を提示しましょう。
④真摯な態度で、謝りましょう。
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上記のポイントを参考にしていただき、
どんな時も粘り強く対応してくれる担当者という印象を抱いてもらい、
顧客との信頼関係を深めていきましょう。

③いかなる時も即レス対応

基本的なことでありますが、「迅速なレスポンス」というのは、
社会人としての信頼関係を構築する上で、とても重要なことです。

ここで「迅速なレスポンス」と言うと、
「早く決断すること」と思われる方もいるかもしれませんが、
もちろん、その必要はありません。
(無論、早く決断できるに越したことはありませんよ。)

メールやチャットを送った相手というのは、
「迅速な回答」を求めているというよりも、
「自分が送った文章を相手が読んでいるか」を確認したい意識の方が強いのです。

そのため、もし自分が他業務に追われており、
熟考したくても出来ない状況に置かれている際には、
自分が落ち着いた時に返信するのではなく、
まずは既読したことを相手に伝えてあげるようにしましょう。

その際、「いつまでに返信する」と期限も添えてあげるとベストです。

④たまにはプライベートでの交流も

あくまでも個人的な経験からですが、IT業界は他業界と比べて、
良い意味で、年齢を気にせず接していただける方が多いなあと感じております。

そのため、自分より歳の離れた方でも、フランクなお付き合いを好むためか、
お酒の席のお誘いを快諾してくれるケースが非常に多いです。

お酒が好きな方や、仲良くなりたい担当者がいる方は、
是非とも、勇気を出して誘ってみてください。

ビジネスマンとしてのお付き合いも重要ですが、
自分が「人」としてその人のファーストチョイスとなるために、
プライベートなことを腹を割って話す時間を作るのも良いのではないでしょうか。

番外編 〜ビジネスモデルから見る運用の大切さ〜

ここで余談ですが、「運用の大切さ」をSES事業のビジネスモデルからも考えていきましょう。

SES事業は、同じ人材事業と言えど人材紹介事業(中途採用支援etc)とは異なり、
ストック型のビジネスモデルとなります。

ストック型ビジネスとは、一度契約すると継続的に収益が入ってくる仕組みであり、
最近流行りのサブスクリプション型のビジネスもこちらにあたります。
(人材紹介などの単発契約ビジネスは、フロー型と呼ばれます。)

つまり、いくら新しい顧客を開拓し新規の契約を得ようとも、
その分、既存の契約が終了してしまえば、利益が純増することはありません。
お客様の「継続率」が重要であるということです。

SES事業を行なっている企業によっては、
業績評価の指標を「新規決定数・新規決定粗利」と置いている企業もありますが、
ビジネスの本質としては、「純増数・純増粗利」となりますので、
SESに携わるものとしては、知識として知っておいた方が良いでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、SES営業としての考え方や行動の極意を記載させていただきました。
参入障壁の低い業界だからこそ、「この人だからお願いしたい」といった
「ファンベース」の考え方が色濃く写っている業界であるとも言えます。

こちらの記事を通して、
SES営業という職業に真摯に向き合っている方に対して、
何かしらのお力になることを願っております。