SES契約における面談対策【前編】

苦手意識を持っている面談を克服し、
第1志望の企業からオファーをもらおう!!

SES契約で案件を探す際に、
「絶対に避けて通れないもの」はなんでしょうか?

そう、『面談』です。

私が出会ったエンジニアさん達は、
『面談』に対して、苦手意識を持っている方が多く、
「面談大好き!大得意!」という方は、少数派でした。

この記事に辿り着いてくださったあなたも、
面談に対して、少なからず「不安」を抱えているのでしょう。

そんなあなたや、面談にお困りの多くのエンジニアさんに向けて、
面談対策について、2回に渡り解説いたします。

前編の今回は、

  • 面談を行う理由
  • 面談前・面談中の心構え

について書いていきますね!

面談を行う理由

あたかも当たり前かのように、選考上「面談」が含まれておりますが、
そもそも、何故「面談を行う必要があるのか?」について、少し考えてみましょう。

まずは企業目線で考えます。
企業には面談を行う目的として、
候補者へ確認したいことが、大きく3つあります。

  1. その候補者と一緒に働きたいと思えるか
  2. スキルシートに記載されている事柄の認識が正しいか
  3. 候補者の行動特性

それでは、それぞれの目的について、順に説明して行きますね。

1.この人と一緒に働きたいと思えるか

友情, グループ, 外, アクティビティ, ベスト, カジュアル, 陽気です

過去の経歴や能力から、実績は上げてくれそうな人材だと思っても、
シンプルに一緒のチームで働きたいなと思ってもらえないと、
企業から合格をもらえる可能性は低いでしょう。
(炎上案件で猫の手も借りたい状態なら別ですが…)

面談の場で、「この人と一緒に働きたい!」と思ってもらうためには、
稀有なスキルや経験以前に、『見た目』に注意を払う必要があります。

高い服を着たり、おしゃれをしたり、と背伸びをする必要はありません。
等身大の自分で構いませんので、『清潔感』を意識した身なりを心がけましょう。

また必ずしもスーツで面談に臨む必要はありません。
大事なことは、その企業に適した服装であることです。

ゲーム会社や基幹系のSIerを比較した時、
同じエンジニアという職業だとしても、
社内の雰囲気・服装規定などは大きく異なりますよね?

業務系のSIerには、スーツでビシッと、
ゲーム会社には、カジュアルでシンプルな服装で、というように、
その場の空気を読んだチョイスを心掛け、
企業のカルチャーにマッチしていることをアピールしましょう。

2.スキルシートに記載されている事柄の認識が正しいか

ビジネスにおけるコミュニケーションの手法には、
対面や電話などの『会話ベース』と、メールやチャットなどの『文字ベース』の2種類があります。

さて、この2つの大きな違いは何でしょうか?

それは、発信した言葉の意味や背景について、
「受け手の主観によって判断されるかどうか」という点です。

『会話ベース』では、言葉のニュアンスに対して、
語気で操作・判断することができますし、
すぐに直接擦り合わせることが出来ます。

しかし『文字ベース』では、受け手の取り方によって、
言葉の意味や背景が、事実から歪曲して伝わってしまう恐れが発生します。

例えば、ある候補者のスキルシート上の使用言語欄に、
「HTML/CSS」と記載されていたとします。

しかしその候補者は、確かにHTML/CSSを使用したことはあるものの、
1から新規でコーディングを行っていたわけではなく、
既存のコードの修正程度しか触ったことがありません。
でも確かに使用経験はあるので、嘘は書いておりません。

さて、この候補者のスキルシートをHTMLコーダーを募集している企業の人事担当者が見たとき、
担当者はここまでの背景を把握することができるでしょうか?

現場の開発担当者が見れば、読み取れるかも知れませんが、
規模の大きい会社の場合、開発に精通していない人事担当者が最初のフィルターとなることもあるため、
その場合は、誤認してしまう可能性も十分にありうる話です。

こちらで挙げた事例は、非常に簡単なものであるため、
メールを用いても確認することが可能かとは思います。
しかし実際には、このような細かい確認部分が沢山ある場合がほとんどですので、
面談で認識の擦り合わせを行った方が、お互いにスキルアンマッチというリスクを防止することができます。

文字ベースで送られた情報は、送り手と受け手の認識齟齬を生む可能性があるという意識は、
面談以外の場でも使えるケースが多いため、覚えておいた方が良いでしょう。

3.候補者の行動特性

スキルシートは大概、経験してきた事柄や事実しか記載されておらず、
「何故、この行動を取ったか」という背景については、省略されていることがほとんどです。

そのため、企業は面談の場において、その背景を聞き出すために、
スキルシートに記載の事実を、深掘りして行きます。

背景を聞き出す理由としては、主に2点です。

・その人が能動的か受動的かを判断するため
→取った行動を、誰かに指示されて行ったのか、自分で考えて行ったのか
・仕事において、何を大事にしているかを確認するため
→効率、チームワーク、品質 etc 何を優先に行動するのか

こちらのような行動の動機を確認することで、
自社組織に入った時にどのような立ち回りとしてくれそうか、
自社の社員との相性はどうかを想像することが出来ます。

行動の掘り下げは、面談時に必ず行われますので、
面談前の準備の際に、行動に対する動機を整理しておくようにしましょう。

ここまでは、企業視点で見た面談を行う目的を説明してきました。
さて、人材視点から見たらいかがでしょうか?

実はこれ、逆もまた然りなんです。

つまり、企業視点としては、

  1. その候補者と一緒に働きたいと思えるか
  2. スキルシートに記載されている事柄の認識が正しいか
  3. 候補者の行動特性

の3つを挙げましたが、人材視点としては、

  1. その面談担当者と、またはその会社で、働きたいと思えるか
  2. 事前にもらっていた案件情報は自分の認識と相違がないか
  3. 会社の理念から来る会社全体の行動姿勢

を確認することが目的というわけです。

自分が企業から評価を受けるだけでなく、
自分も企業を評価するという意識を少し持っておくだけで、
自分から企業に興味を持つようになり、
【後編】で説明する、企業への逆質問もわんさか出て来るようになります。

しっかりと目的意識を持った上で、
次に説明する面談のコツを実行して行きましょう!

面談前・面談中の心構え

ここでは、面談前・面談中の心構えをいくつか説明して行きます。

『キャッチボール』を意識しましょう

面談は発表会ではありません。
企業担当者とのコミュニケーションの場です。

なんとかアピールしようと、
自分が話してばかりになってしまうケースも見受けられますが、
これでは、「会話の出来ない人」というレッテルを貼られてしまい、逆効果です。

「相手の話に傾聴すること」を意識し、掘り下げた質問を行うことができれば、
仕事においても、円滑な進め方が出来る人だとイメージしてもらうことができ、大きなアピールに繋がります。

面談前に同席する営業と沢山お話しましょう

SESの面談では、正社員の採用面接とは異なり、
基本的に面談の場に、案件を紹介してくれたエージェントや所属企業の営業が同席します。

所属企業の営業である場合は、顔見知りである可能性が高いですが、
エージェントの場合は、面談当日に初めてお会いするといったことも珍しくありません。

そのような場合にも臆することなく、
面談前に互いに最新情報の擦り合わせを行いましょう。

理由は、主に下記の2点です。

  1. 面談前に案件の最新情報を仕入れることができるため。
  2. 面談中にフォローをしてもらうため。(特に経歴説明が苦手と感じている方)

1.面談前に案件の最新情報を仕入れることができるため。

業務委託案件は、正社員採用よりも案件の動きがとても早いため、
募集枠や求めている人物像などの案件の状況が目まぐるしく変化しております。

その案件の最新情報を知っておくことで、
経歴説明も、より企業に刺さるエピソードへ変化させることができますし、
案件探し活動を優位に進める上で、自身の注力企業を判断する指標にもなります。

2.面談中にフォローをしてもらうため。(特に経歴説明が苦手と感じている方)

同席してくれる営業は、面談時に初めて訪問するエンジニアとは違い、
過去に何回もその企業の面談同席を経験していたり、
普段から企業の担当者とのやり取りを行ったりしているため、
「エンジニアの持ちうるどの経歴が相手に刺さるか」を熟知しています。

面談慣れしている方は、営業との擦り合わせだけで企業の需要を察知し、
そこに刺さるエピソードを言葉で説明することに長けているため、フォローは必要ありませんが、
面談に慣れていない方や、緊張して頭が真っ白になってしまう方は、そう簡単には行きません。

そこで同席してくれる営業に、
事前に経歴をスキルシートに記載された内容を掘り下げて擦り合わせることで、
面談前に経歴説明の構成を打ち合わせ出来るだけでなく、
面談時に話が詰まってしまった際に、横からフォローを入れてもらうことも可能です。

これだけ利のある事前の擦り合わせですが、
営業の人やエージェント会社の方針によっては、面談開始のギリギリに集合時間を設定し、
全く擦り合わせを行わないまますぐに面談に入り、
営業の人はただ引率の役割を果たすだけ、というケースも時折見受けられます。
(数をこなすことに忙殺されてしまっている営業さんもいますからね…)

もし、そのような集合時間を設定されてしまっても、
あなたが面談に不安を抱えているようでしたら、
遠慮は一切せずに、事前擦り合わせの時間を設けてもらうようお願いしましょう。

頼まれて断るような営業は、よほどの人でない限りいないと思いますので、
自分が万全な準備を整えて、面談に臨めるようにすることを第一に考えてください。

経歴説明は簡潔に

面談をアピールの場だとしか捉えていない人は、経歴説明タイムに要注意です。

自分の経歴を一から余すことなく伝えようとしすぎ、
今回の面談と親和性のない経験までも説明してしまう恐れがあります。

無駄な説明が多く経歴説明が必要以上に長くなると、
「要点の整理ができない人」と印象付けられてしまいます。

経験したプロジェクト(以下PJ)の少ない若手エンジニアであればまだしも、
5個以上のPJ実績のある人は、3つに絞って話すようにしましょう。

PJを選ぶ観点としては、下記を参考にしてください。

  • 今回の案件に親和性のあるPJ
  • 最も実績を上げたと誇れるPJ
  • 最も大変な状況だったPJ

上位の2つの観点に関しては、容易に理解できるかと思いますので、
「最も大変な状況だったPJ」を伝える背景を説明しますね。

それは、昨今の企業では、
「困難に直面した時」に取る行動姿勢を知りたいからです。

明確な原因はよく分からないけれども、とりあえずマンパワーで乗り切ってしまうタイプであるのか。
はたまた、ロジカルに数字で原因を考えて、改善行動に落とし込むタイプであるのか。

このような行動姿勢を知ることで、
企業は、現時点で必要な人材であるのかを判断することができます。

無論、後者の姿勢を取る人の方が、
現代では求められていることが多いと思います。

しかし時にSESの案件では、
納期に間に合わせるべく人員を募集しているものもあり、
その場合は、原因を追求できる人よりは、スタミナのある人を求めます。

そのため「最も大変な状況だったPJ」を説明する際には、
「どう乗り越えたか」も合わせて答えるとgoodです。

また、どのPJを話すかを選択する際には、
まず自分で話すPJを選んでみて、面談に臨む前に、
同席する営業にこの選択肢で問題ないかを確認するのも良いかと思います。

結論から伝える意識を

ビジネスのシーンにおいては、結論を最初に伝えるよう特に心がけましょう。

結論を最初に伝えることは、
「今からこれについて話しますよ〜」と事前に宣告することと同義です。

既に、共通のゴールをお互いに認識することが出来ている会話と、
聞き手がまだゴールをイメージ出来ていない会話とでは、
前者の方が理解しやすいことは、お分かりですよね?

日本語は、結論が最後に来る稀な言語のため、
最初は意識していないと結論から伝えることが難しかったりします。

こちらは訓練次第でどうにでもなりますので、
日頃から意識して取り組みましょう。

緊張するのは当たり前

「緊張のせいで、全然上手く話せない…」
「どうしたら、緊張しなくなるんだろう…」

このような悩みを抱えている人は少なくありません。

結論、緊張はなくすものではなく、「受け入れるもの」と思いましょう。
緊張するのは、当たり前と思い込みましょう。

寧ろ人間という生き物は、
適度な緊張状態にないと良いパフォーマンスを発揮できないそうです。

緊張を受け入れて、「自分に出来ることだけやろう」と、
目の前のことに一つ一つ向き合うことが出来たならば、
きっと、良い結果に繋がる確率は高くなっていくでしょう。

まとめ

今回は、「面談を行う理由」と「面談前・面談中の心構え」について説明させていただきました。

面談だけでなく、日常で発生する様々な事象に対して、
「相手の意図を察知して、真摯にリアクションをする」ことは大切なことだと思います。

まさにそれこそが、『思いやり』なのだとも言えます。

常に『思いやり』を持って向き合えば、
他者の需要を満たすことができるようになるため、
ビジネスマンとしても、人としても、成長することが出来るんじゃないかと信じています。

面談対策に対して、小手先のテクニックを記載するのではなく、
読者が人間形成を行う上で、何か少しでも役立てるコンテンツになったらいいなと願いながら、
「面談対策【後編】」も書いていきますので、引き続きご拝読いただけますと幸いです!

次回は、「質問事例」と「逆質問」にフォーカスします!